4043 トクヤマ 半導体銘柄でありながら低調な株価の理由は?

注目株レビュー
スポンサーリンク

企業概要

化学メーカー。
半導体・太陽電池に使用される高純度ポリシリコンは世界第2位の生産量。
事業構成:
1)化成品(ソーダ灰、苛性ソーダ、塩素誘導品、塩化カルシウム、イソプロピルアルコール)
2)特殊品(多結晶シリコン、窒化アルミニウム、ICケミカル)
3)セメント、ライフアメニティ製品の製造販売。情報・電子分野(半導体用多結晶シリコン)
4)生活・医療分野(めがねレンズ材料、歯科材料、医薬原体・中間体)
環境・エネルギー分野(太陽電池用の多結晶シリコン、資源環境)

株価情報

株価(2021/6/25)2,285円
時価総額1,647億円
ROE13.35%
PER(予想)7.48倍
PBR0.83倍
配当利回り(20.3実績)3.06%
EPS305.6円

過去に太陽電池用シリコンで大失敗

2009年にマレーシアに設立した連結子会社「トクヤママレーシア」における太陽電池用シリコン(多結晶シリコン事業)が市況下落により大幅に収益が悪化。これにより15年3月期、16年3月期に多額の減損損失を計上し無配に転じた。こうした状況に対し、2016年5月には「財務基盤の再建」に向けた種類株式の発行による資金調達を実施した。

2009年当時、太陽電池用シリコンは需要の伸びに供給が追い付かず、1キログラム当たり60ドル以上の高値で取り引きされた。しかし、太陽電池用シリコンは技術的な参入障壁が低く、中国などアジア勢の相次ぐ参入で供給量が激増。大幅な供給過剰に転じて2011年後半から市況が急落し、2012年以降は20ドルを割り込む水準が続いた。そして、生産コストより販売価格が低い逆ザヤ状態。

「トクヤママレーシア」の投資額は約2100億円。連結売上高が3000億円規模の同社にとって、これだけの巨費を投じる工場建設はまさに社運をかけた一大プロジェクトだった。

しかし・・・2016年、たったの100億円で韓国企業へ売却してしまった。
そして、一連のプロジェクトを推し進めた当時の社長が引責辞任に至ってしまった。

株価が低調な理由は?

現在は、半導体用シリコンを始めとするコア事業に経営資源を集中しつつ、(ほとんどの品目を生産する)徳山製造所の効率化を進めているという。

以下、2021/5/27 IRレポート「ブリッジレポート」より
横田社長インタビューを抜粋。

株価は2018年5月の高値の後、低調な展開が続いていますが。

この要因は、一つには、CO2問題と考えています。エネルギー大量消費型の当社がCO2削減に取り組むことでこれまでの収益力が失われるのではないかという懸念です。

もう一つの要因は、成長分野である電子材料事業の収益力がまだまだ不十分であるとの市場の評価であろうと理解しています。

そうなると、石炭火力発電の利用をベースとしたビジネスモデルの上に成り立っている当社は、事業の在り方そのものの大転換を迫られることとなります。
自社保有の石炭火力発電の利用を競争優位性としてきた伝統産業は一定のキャッシュを創出できる分野ではありますが、こうした環境の下では決断する時がもっと手前に来るかもしれない。
極めて重要な時期にあるという認識です。

最も需要な課題と思われる事業ポートフォリオの転換については?

半導体の微細化を支える高純度材料分野や放熱材料分野でトップシェアを獲得し、国際展開を加速することを目指す電子材料事業では、マーケティング能力の強化が課題です。

ライフサイエンス事業では特有技術で差別化可能な領域(眼・歯・診断)でのニッチトップ獲得を目指します。
フォトクロミック材料で世界シェア25%を目指すほか、歯科器材でのブランド浸透やオムニクロマシリーズの海外販売拡充を図りますが、こちらでもマーケティング機能の強化が欠かせません。

両事業とも、海外市場の開拓が重要です。現在約20%の海外売上高比率(全社)を2030年度までに50%以上まで引き上げます。

次世代エネルギー開発への取り組み

以下、2021/5/27 IRレポート「ブリッジレポート」より
横田社長インタビューを抜粋。

水素

既に再生可能エネルギー由来電力(再エネ電力)による水素製造については、水素製造設備の開発と商用サイズ電解槽及びプロセスの開発と実証に着手しています。
また、トヨタ自動車株式会社と共同で、トヨタ自動車の燃料電池自動車「MIRAI」に搭載されている燃料電池システムを活用した定置式の燃料電池発電機を徳山製造所内に設置して、副生水素を利用した実証運転も行っています。この実証研究を機に、国内有数の高純度な副生水素供給能力を持つ総合化学メーカーとして、副生水素を活用した地域貢献モデル事業の検討を進めています。

バイオマスの事業化

当社発電所における使用に加え、一定の競争力を維持していくためには他社に外販するくらいの経済規模で自社開発していかなければなりません。いままで無価値と思われていたような素材をバイオマスとして活用するために、当社の化学技術と外部パートナーのエンジニアリング技術を組み合わせて、適切なバイオマス材料を発掘、実用化していきたいと考えています。

リサイクル事業

太陽光発電モジュールについては、これから5年程度で老朽化したモジュールが大量に破棄されると見込まれています。
太陽光パネルは、シリコンの表面に接着剤でガラスを貼り付けてあるため、廃棄する際にガラスを剝がすことが難しく、リサイクルが困難でした。当社ではその基礎技術が確立できましたので、現在NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成金を基に北海道で実証実験を行っています。
分離する技術を完成させるとともに、シリコンの回収も含め、コスト的に見合うレベルまで2年程度をめどに完成させたいと考えています。
こちらも世界的な市場が見込まれますので、知財戦略も進めながら事業拡大を目指していきます。

 

タイトルとURLをコピーしました